知覚とは何か?感覚とどう違う? 脳はどのように関与している??

知覚、というのは、周囲の環境を意識すること、自分の身体を意識すること、
そして、感覚情報を、最適な条件で処理することである。

知覚は、脳活動に基づく。 これは、正しい言及であるが、これを言ったから
と言って、脳と知覚の関係を正確に記述したことにはならない。

感覚として、処理されたものが、そのまま、知覚として成立するとは限らない。
例えば、両眼視野闘争(binocular rivalry)を考えてみよう。

右目に、例えば、自動車、左目に、動物、を、視覚刺激として提示してみよう。
単純な情報としては、1)自動車と動物が、空間的に重複して見える、
2)視野の一部では、自動車、視野の別の部分では、動物が、バッチのように
部分的に見える。という可能性が考えられるであろう。

しかし、結果は、これらのどちらの予測とも異なる。

実際に実験をしてみると、まず自動車が数秒見える。そのあいだ、動物は、
見えない(抑制されている)。驚くことに、数秒後、視覚が逆転して、
動物が見える。そしてその間は、自動車の像は知覚から抑制されている。

つまり、視覚像は、一つしか見えない。これが、視覚意識と言われる
現象である。

さて、この意識が、脳のどこで、どのような機能により成立するか、
という問題は、脳神経科学の重要課題である。

ここ10年来の研究で、物体認知、認識、そして物体そのものの
脳内成立過程について、いわゆるフィードフォーワード、フィードバックの
ループが大切な要素であることがわかってきた。

(以下続く)