2010-01-01から1年間の記事一覧

哲学、思想、宗教、文学を語る(1): 西洋文明とキリスト教

西洋文明と対峙して、日本独自のものを作っていくためには、 物事を哲学的、思想的に考える必要がある。 この、早稲田大学名誉教授である松原正氏が、 「人間通になる読書術―賢者の毒を飲め、愚者の蜜を吐け」 で書いたことらしい。 http://business.nikkeib…

サンタクロース移動中

サンタクロースは、アンドロメダ大星雲から、1年に一回、3か月かけてやってくる、 という説を聞いたことがある。 出発するのは、9月15日というはなしなので、12月24日まで、3か月と10日、100日ある。 アンドロメダ大星雲は二百三十万光年離れているので、2…

時間と脳神経系の謎(1)

先日、とある研究会で、脳と時間、というとんでもないテーマを やっていて、東京女子医大の名誉教授で臨床医の岩田誠先生が、 彼の臨床経験も交えて、大変面白い話をされていた。その中で、医学的には時間は記憶と密接に関係がある、 特に現在と過去の違いは…

時間と神経系の謎(2)

以前にも書いたが、神経細胞の情報伝達には、一個の細胞ならば、 入力されてから、出力されるまでに2,3msかかる。ところで、僕の専門の一つである視覚系でいえば、網膜は3層に なっているので、視細胞に光情報が入って網膜の出力である 神経節細胞が出…

自律神経と脳

自律神経系は、呼吸、循環、消化、代謝、体温調節、排泄、生殖などの不随意な機能の制御をおこない、生体の内部環境を維持調節する恒常性(ホメオスタシス)を維持する役割をもっている。自律神経には、機能的にお互いに拮抗する働きを持つ交感神経(Sympath…

脳神経系と空間情報処理(1)

脳は、約半分の大脳皮質領域を、視覚の成立のために使っているが、視覚の主な目的の一つは、空間認識、つまり、自分の空間を構成することである。実はその空間は、眼球の中心、中心かと呼ばれるところで遂行される中心視、と視角にして2度から5度までの中間…

脳機能計測

人間の脳を計測する方法には、いくつかある。1.fMRI (数億円) 2.MEG (1億程度) 3.EEG (数百万〜数千万) 4.NIRS (数百万〜数千万) この順に(上から下まで)簡単になる。価格もほぼ同様。 2、3は人間の脳神経の電気及び磁気…

脳と宇宙の共通性

僕は、脳が大好きで、この分野に足を踏み入れているわけだが、 そうでなければ、天文宇宙物理学者になりたかった。 ということで、実は、脳と宇宙に共通点がある、 とうことをここに指摘しよう。 それは、光と時間だ。 脳の情報処理の方法は、電気的に伝えら…

脳が生み出す数

脳が好きな数は、ゼロでもないし、1でもない。 ランダムという数が好きなことは間違いないが、ランダムを具体的に表す数は、脳神経系において今のところ定義されていない。それは今後必要な作業かもしらない。 自然対数は、いわゆる減衰曲線において関係あ…

モーニング革命

普通、アイドルといえば、年をとれば(20歳程度)引退して、それで終わり (勿論某AKBのようにごまかして引っ張る例もあるが。。)、それが世の中だと 思っていた。 しかし、確かにBeatlesは、アイドルグループから実験家、そして アーティストと…

脳と生理と心理の関係

20世紀(1900年代)には、脳は生理的なもの、心理は脳と関係が あるだろうが、心理は生理では解決できないもの、という考えが 主流であった。例えば、臨床心理学では、ストレスを生理的ストレスと 心理的ストレスに区別し、生理的ストレスでは脳が関係するが…

感覚系の役割: 心的内部世界の構成

感覚系は、情報を取り入れる、それが感覚系の脳に対する 役割だと、ずっと考えていたが、どうも感覚系がしている 仕事は、それだけではないらしい。感覚系は、その情報を使って、外部の世界を構成する、 というのと、自分を含んだ心的内部世界を構成する、 …

知能は6次元

知能には、以下の6つのファクターがある。1.感覚知覚と認知 2.情動と感情 3.注意と記憶と意識 4.言語論理と思考 5.運動と身体と可塑性 6.コミュニケーションまるで心理学の教科書シリーズのようだが、脳の情報処理 様式を考える場合、これらが…

意識の役割

意識は、いったいどのような役割があって、脳の処理過程として 存在しているのだろうか。その候補を考えてみた。1.感覚から知覚の統合過程 2.異種感覚の統合(例、視覚と体性感覚、視覚と聴覚) 3、時間感覚の成立のため 4.知覚と記憶の橋渡し(知覚…

体感と脳

体感というのは、はてなによれば、 「身体部位の動きにより身体の中を伝わり本人にだけ知覚できる自己受容感覚のこと.」だそうだが、これをつかさどる脳は、体性感覚野だけではない。 耳の三半規管、そして、体感温度を感じる、痛覚、 それに影響を与える視…

前頭葉と運動野: 新しいモデル

サルは、後頭葉が、皮質の10%を占めるが、人間はそれが3%に減り、その代わり、前頭葉が30%に増加する。前頭葉は様々な機能があるが、その大きなものとして、運動野、 言語野、そして、前頭眼野がある。いずれも運動に関連した部位である。前頭葉では…

時間感覚と脳

1秒がどれほど、長いのか、意識した人はいるだろうか。 実は知覚、ここでは、視覚は0.3秒で成立している。 約0.1秒で基本的な機能を終えて、0.2秒でおおよその知覚の成立、0.3秒で記憶とのマッチングや、注意などの基本高次機能が完遂する。0.3秒した…

脳と遊びと自由意志

脳は、どのようにして遊びを作り出すのだろうか。そこには、哲学的には、自由意志の問題が存在する。 遊びには、意図せずして、制約なしに自由に行う、という 側面と、仕事の対立概念として、ランダムに目的なく 何かする、という側面がある。こどもは、遊び…

脳は時間をどう扱っているか

脳にとって、時間というのは不思議である。「時をかける少女」、という映画を久しぶりにみて (アニメ版)時とは、 そして脳における時間とは何だろうか、と哲学的に考えてしまった。 脳は、時間をどのように取り扱っているのか。まずは、感覚情報処理は、時…

拡張視覚と感覚拡張

感覚を拡張する。視覚は、人間にとって最も重要な 感覚で、脳の約80%が視覚に関与しているといえる。視覚系は、人間の脳の後頭部、側頭部、そして頭頂部に おいて、この順番に統合されるが、その過程で、 物体認識から、空間認識、そして時間を使ったオペ…

Behavior dependent short-term assembly dynamics

面白い。しかし、この英語、なんとかならないものか?わらいhttp://www.nature.com/neuro/journal/v11/n7/full/nn.2134.html

脳活動の津波モデル

先日チリで起こった地震による津波は、2日間かけて 太平洋を横断し、太平洋の反対側の日本にまでやってきた。その結果、大津波警報が発令され、岩手では2mちかい 津波が実際起こった。この津波の原理は、たらいの中の 水に、石を落としたときに起こる波と…

脳をエンジニアリングする

脳という神経系(およびホルモン内分泌系)を理解するためには、生物的なこと、神経のこと、ホルモンのことを知らなければならないのはもちろんのことだが、その研究戦略の有力なやりかたのひとつとして、エンジニアリング、というのがある。エンジニアリン…

基本構成要素

Basic Element。物事を説明するときに、もっとも基本になる要素。コインのようなもの。これを見つけることが、サイエンスの目的の一つである。

トヨタ問題への考察: 原点回帰へ向けて

現在トヨタを揺るがしている問題、それは技術と安全、という 現代社会の根本問題である。 そもそもトヨタの安全対策は、業界では僕の知る限りトップクラスで (前にぼくは米国日産の基礎研究所にいたことがある) これが問題になるアメリカというのも不思議…

脳の神経回路の大域モデル

脳の視覚系などの感覚系には、情報を統合するFeedforward 系(上方回路)と、上方統合されたものが、再帰的に帰って きて、使われる、Feedback系(下方回路)がある。Feedforward信号は、そのいずれの段階でもFeedback信号 として帰るので、Loop構造をなす。…

視覚情報処理1: 基本構造

僕の専門のひとつだが、これを一言で述べるのは 非常にむずかしい。事実1: 膨大な計算量脳はその約半分を視覚情報処理に使っている、 即ち、1400億個の約半分、700億個の神経細胞の 計算を視覚知覚を得るために使用している。 事実2: 視覚伝道路視覚情報…

人間の脳のモデル

脳の目的は、いくつかある。1.感覚情報を処理して、知覚を作り出す。 2.知覚を利用して、認識を作り出す。 3.認識を使い記憶を作り出す。 4.認識、記憶を統合して意識を作りだす。 5.意識に基づいて、身体を動かす。 6.身体情報をモニターし支配…

アートと創造性:美しさについて

ARTというのは、美しさ、という側面と「技」という側面がある。先日の、浅田真央ちゃんの演技でもそうだった。 結局、美しさを編み出す、作り出す、ということがアートの本質なんだろうと思う。サイエンスの目的も、究極的には、美しい宇宙の真理を見つけ出…

イメージトレーニング

やはり、頭は、使うとよくなるらしい。しかし、使う、という意味が、いろいろあり、タダものを見たり、しゃべったりしても頭は使われる。 起きていても、寝ていても、頭は使われる。頭のどの部分を、どのように使うか、これが問題である。どのように使うか?…