神経数理学とは何か?

最近、よく聞かれる質問なので、きちんと定義しておこう。神経数理学とは、何か? それは、生物としての神経の振る舞いを数理物理学的に説明する学問研究分野のこと、である。 具体的には、神経のシグナル伝達、シナプス伝達、神経回路網、大域的伝達、行動…

知覚とは何か?感覚とどう違う? 脳はどのように関与している??

知覚、というのは、周囲の環境を意識すること、自分の身体を意識すること、 そして、感覚情報を、最適な条件で処理することである。知覚は、脳活動に基づく。 これは、正しい言及であるが、これを言ったから と言って、脳と知覚の関係を正確に記述したことに…

脳のアーキテクチャー

脳をアーキテクチャー(建築様式)として、とらえた場合、環境と生物(自分)を動的、適応的に結び付けるソフトウェアが脳、である、 といえるのではないか。脳神経系というのは、環境に応じて自動的自律的に自分のデザインを可塑的に 変化させる、という本…

行動と知覚(感覚ではない)の複雑な関係

行動(身体運動)と知覚(感覚情報を、認識すること)の関係は、 思ったほど簡単ではない。以下の4つの場合に分けることができるだろう。行動をしていながら、知覚していない場合。 典型例。 心臓拍動。 行動していながら、知覚する場合。 これが普通のActiv…

量子論の本質

量子論の本質は、エルミート性とヒルベルト内積空間を使った、自然を整数表現(プラス1、マイナス1)したものである。整数の内積表現なので、結果はやはり整数となり、それによってベクトル線形表現が可能になる。ヒルベルト変換の力である。これを直接証…

脳は一体何をやっている?

感覚器からの入力の処理、 意識と意図の作成、 生命維持、身体維持、 感覚統合 運動系の統御、制御、 感覚系と運動系の協調動作これらを、マイクロセカンドの速さ、マイクロメータの細かさで、10の10乗のオーダーで 計算している。これは、純粋に私個人の…

感覚の可塑性、知覚拡張の可能性

神経系は、自分で感覚意識する以上のものを、センスしている。例えば、 聴覚でいえば、自分が聞こえると意識するのは、だいたい50Hz程度だが、厳密なテストを行えば、20Hz付近でも、信号を感知している。同様に、高周波においても、約2万Hzの周波数信号…

サイエンスに必要な要素

サイエンスに必要な要素: 1. テーマ、研究題目、ある研究分野におけるテーマの設定 2 そのための現象、自然を観察する 3 その問題をサイエンスの枠組みで仮説として組み立てる能力 4. 今どこまでわかっているか、何がわかっていないかという感覚 5.…

第5回CBE研究会のお知らせ

- ●日時: 2013年11月29日(金) 16時〜20時 ●場所: 首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス http://www.tmu.ac.jp/university/campus_guide/access.html ●参加費:2000円(発表資料代1000円含;懇親会費は含まれません) ーーーーーーーーーーーーーーーー…

視覚系の役割

前に感覚系の役割、として、考察したことがあるhttp://d.hatena.ne.jp/yasutotanaka2000/20100616/p1 そして、6年前か、視覚系のレビュー論文を書いたことがあるが、 ここでは、視覚系の役割、というものを考察してみたい。まず、視覚は光を処理する。 とい…

量子力学・場の理論の簡単な説明

1900〜1950年までの、理論物理学、とりわけ量子力学と場の理論を概観してみた。 量子論の骨格は以下の2点である。 1. 電子は粒子的(個数で数えられる)である。 プランクが示唆し、アインシュタインが理論化した、光電効果。 2. 電子、光子は波である …

経路積分とダイアグラムの違い

ファインマンは、 グラフ ダイアグラム 経路積分 経路積分のグラフへの結びつけ 経路積分のダイアグラムへの結びつけ という思考を経たに違いない http://members3.jcom.home.ne.jp/nososnd/ryosi/path.pdf 相互作用や多体問題は、最初は考えなかったに違い…

ファインマンが、自分の物理学に自信が最後まで持てなかった理由

http://repo.lib.ryukoku.ac.jp/jspui/bitstream/10519/903/1/r-rn_473_005.pdf 結局、古典論で、量子場が解けてしまった。 なにも、特別ではないではないか。 というのが、ファインマンの量子場理論構築後の感想であったであろう。また、無限大は、計算様式…

量子論と量子場の理論の違い

場というものを仮定した、第二量子化が、違いの第一。 それによって、電子の発生機構をモデル化したディラックは、電子の反対の性質を持つ 反電子(陽電子)をそのモデルから、仮定せざるを得なかった。 そして、それは 現実に見つかったのである。しかし、…

電子情報通信学会 第4回通信行動工学研究会

http://www.ieice.org/~cbe/

相対論と場の電磁気学

特殊相対論は、電磁気学と切っても切れない関係であった。 というより、電気力学の場の理論にガリレオの慣性系を当てはめたら、 必然的にニュートン方程式を書き換える必要が生じた、というのが正確なところだ。 もちろんそれは、アインシュタインが1905…

なぜ量子論が必要か?

物理学において、なぜ量子力学が必要であったのだろうか? 朝永振一郎先生にならって、時代を100年ばかり戻してみよう。当時は、電磁気学はマックスウェルの方程式で説明されたが、光は波動か粒子か という問題が解決できなかった。さらに、場を想定する…

システムとしての視覚系

視覚の目的は、外界を脳に投射する地図を作ることである。その地図は、リアルタイムに動いていなければならない。その地図は、リアルタイムに書き換えられなければならない。リアルタイム、というのは、時間的には100Hz,10msの時間精度、空間的には573m…

頭頂葉というシステム

1.頭頂葉は、現実を移すシアターである 現実の空間、視覚空間、触覚空間を反映している2.そのコピーが、前頭葉に写る。 それによって、 t1とt2が生まれる。 その2つを比較することに よって、時間が生まれる。 その2つを写し合うこと によって、記…

視覚系のオブジェクト構成法

1. 線と面から、3次元の物体を構成する 2. その物体には、動きからの特徴、動きそのもの情報が内包されている 3. その物体は、環境空間にマップされる 4. その物体は、身体空間によって操作される 5. 操作する主体としての身体意識と、物体をとら…

第3回通信行動工学研究会

●日時: 2012年10月20日(土) 11時〜18時 ●場所: 大阪大学 吹田キャンパス 情報科学研究科 棟A 110講義室 ●テーマ: 通信行動データの工学応用に向けて ●参加費: 2000円 (発表資料代1000円が含まれています。 懇親会代は含まれていません。)プログラム…

科学における哲学の必要性

アインシュタインをして、ニュートンを超え、相対論に導いたのは、エマニュエルカントであり、エルンストマッハのお陰であった。 マッハは、時間の絶対性を否定し、時間と空間を相対的なものとみなした。 もちろんその本当の意味は、アインシュタインの相対…

ローレンツ変換と特殊相対論

ローレンツは、計算していた。 物体と時間が収縮することも、光の速度が一定であることも。 彼は、ローレンツ変換とのちに呼ばれる方式において、空間座標と時間座標を変換する線形 の式を編み出した。 しかし、ローレンツの解釈は、古典的な域を出なかった…

やすぽむ、脳神経理論に進む

この10年、脳計測にいそしんで、fMRI,MEG, EEG, NIRSなどで、遊ぶように いろいろトライしてきたが、これらの脳計測の肝は、実はモデル化、統計であり、 それの究極の目的は、1. 環境からとりいれられた情報、自分の体内、自分の体から発する情報を ど…

通信行動工学時限研専 第二回研究会

告知です。いよいよ、週末、土曜日に迫って着ました。 やすぽむも、コメンテータとして、通信、行動、と脳について 論じる予定です。みなさま、よろしくご参集ください。 ーー2012年3月10日 通信行動工学時限研専 第二回研究会 http://www.ieice.org/~cbe/in…

EEG脳波信号の秘密

考えてみれば、脳波というのは、1400億個の神経細胞の活動が、ms(一千分の一秒)の 単位で活動している、その電気磁気活動の総体である。最近では、デジタル信号技術の発達に より、比較的簡単に計測できるので、つい慣れてしまっているが、よくよく考え…

心理行動計測と脳計測の比較

とある教授から、心理行動計測は、脳計測よりずっと精度が 高く正確でモデルも作れる。なのに、なぜ脳計測を行うのか、 という質問を受けた。その答えは、脳計測を行う人々が、心理計測を知らないために、 脳の反応に重きを置き、それが何か非常に貴重なもの…

起承転結とオリジナリティ

ストーリーTellingには、ある一定の方法がある。 起承転結、というのは、そのひとつの典型である。 特に、2番目が重要であるというのは、大変示唆的だ。http://homepage1.nifty.com/shimada_lisa/knife/sousaku/2kishou.htm 定義 http://ja.wikipedia.org/wi…

価値は人間の脳から生まれる

最近は、何かを書き始めてから、考えることが多くなった。普通は、何かを書くためには、既になにかが頭の中にある、というのが常識だろう。しかし、実は、文章、言語を構成する脳の働きは、動いている、という遷移状態そのものに、本質があるのではないだろ…

(告知) 電子情報通信学会 通信行動工学時限研専 第一回研究会

- このたび、「人々の通信に関わる行動を心理学、脳科学などの 視点から研究する」研究会を立ち上げました。http://www.ieice.org/~cbe/gaiyou.html皆様の参加をお待ちしております。 - 通信行動工学時限研専 第一回研究会●日時: 10月29日(土) 11時〜17時…