感覚の可塑性、知覚拡張の可能性

神経系は、自分で感覚意識する以上のものを、センスしている。

例えば、 聴覚でいえば、自分が聞こえると意識するのは、だいたい50Hz程度だが、

厳密なテストを行えば、20Hz付近でも、信号を感知している。

同様に、高周波においても、約2万Hzの周波数信号を蝸牛有毛細胞はセンスしているが、

実際に聞こえているのは、1.2〜1.6万Hz(年齢による)である。



ということは、感覚の訓練によって、知覚が可塑的に変化し、能力を拡張できる

可能性がある。


更に、知覚は、認知から記憶とつながる情報処理機構であり、

知覚的記憶、知覚学習が生じることが、行動学的、神経科学的にわかってきている。


ということは、記憶や行動様式が、知覚によって変化することが可能である、

ということを示す。


これは、脳神経系が、人間が生きている限り、可塑的な要素をその本質として

もっているという事実を示している。




脳については、情報処理の化けものであり、今の情報処理の論理では、とても

太刀打ちできない。 単純な、コンピュータ、ネットワーク、統計、物理、数理

モデルでは、絶対に説明不可能である。(もし可能であるというひとがいたら、

連絡してきてください。今のところ世界にそんな人はいないはずだ)



よって、こういった脳の可塑性が、どのようなメカニズムによって発生している

かは、未だ仮説の領域を出ない。