ローレンツ変換と特殊相対論

ローレンツは、計算していた。 物体と時間が収縮することも、光の速度が一定であることも。
彼は、ローレンツ変換とのちに呼ばれる方式において、空間座標と時間座標を変換する線形
の式を編み出した。

しかし、ローレンツの解釈は、古典的な域を出なかった。彼の現実への解釈は
時間は一定とするニュートン的なもので、 光速度を不変とした原理から考えた場合の、
時間そして空間いずれもが 相対的(一定ではない)とした原理にもとづいて、すべてを
考え直した。。

そのいみで、ローレンツ変換アインシュタインの原理とは、全く別なものであった。
ローレンツは、真実の一歩手前までいっていたのだが、そこには到達しなかった。

その真実は、アインシュタインによって明らかにされた。その差はわずか1年であった
が、 僕の意見では、もしアインシュタインが現れず、ローレンツが1905年から、
そのまま10年研究を続けていても、否、50年経っても、真実は明らかにされなかった
であろう。なぜなら、ニュートン力学は、当時「絶対」であり、これを覆すには、
相当の知力、体力、そして発想の転換が必要であったからだ。 それだけでなく、それを
使った価値変換、原理の創設、そして、その原理を使ったものごとの合理的再解釈が
必要であるのだ。

ここに、物理の理論構築の妙がある。学ぶことは、とても大きい。

ヘンドリック ローレンツ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%84


ローレンツ変換
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%84%E5%A4%89%E6%8F%9B


PS
ローレンツは、ゼーマン効果の解析により、1902年ノーベル賞を受賞、アインシュタイン
光電効果により1919年、受賞したが、アインシュタインのもっと大きな成果のひとつは、
この特殊相対性理論(そしてもちろん一般相対性理論)、 ノーベル賞委員会も、
アインシュタインにかかっては、猫に小判現象であった。

ちなみに、ゼーマン(Zeeman)効果、と呼ばれるものは、磁界により電子が影響を
受けるその振る舞いを見つけた効果であり、 21世紀の現在では、MRIの原理の基本で
ある (わらい)

ゼーマン効果
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E5%8A%B9%E6%9E%9C