時間と脳神経系の謎(1)

先日、とある研究会で、脳と時間、というとんでもないテーマを
やっていて、東京女子医大の名誉教授で臨床医の岩田誠先生が、
彼の臨床経験も交えて、大変面白い話をされていた。

その中で、医学的には時間は記憶と密接に関係がある、
特に現在と過去の違いはそうで、アルツハイマーなどの患者さん
には、過去を現在としてとらえている、タイムトラベラーが
いらっしゃる、と論じていた。

また、人間にとって、歴史的には、時間はそれほど厳密な
概念ではなく、時計の発明と普及とともに、人間は時間に
追い立てられるようになった、つまり時間泥棒は、時計だった、
というユニークな説を披露された。

物理学で論じられる時間は、ニュートンによって絶対的な
存在と理論付けられたが、アインシュタインによって、それが
相対化された、これは、哲学的にも、人間の認識論としても
パラダイムシフトであった、ということも言われた。

果たして、人間の脳(認識)が把握する時間、というものは、
そもそもどういったものであろうか?
それは古典力学を創設したニュートンの言うように絶対的な
ものか、それともアインシュタインの言うように相対的なもの
か? 

そもそも、人間、そして生物の時間、というのは、物理的な
時間の概念だけで、理解できるものなのだろうか? 
それとも、物理的な時間の理論(アインシュタイン)だけでは
解決できない、何か特別なものなのだろうか?

 その考察を進めるにあたって、ここでは、まず神経系、そして、
認知、という側面から、順を追って論じてみよう。

まずは、神経系の時間の扱い方について論じる。 (次参照)