脳活動計測の意義

いろいろな方々から、脳活動を計測して、いったいどういった意味があるのか、
という質問をされる。
もちろんその質問は、その背後に単純に計測して出てきた絵がきれいだ、とか、
脳に関係するからおもしろいとか、何かわからないけどすごい、とか、
そんな意味があるから、質問されているわけではない。 
そこには、脳の研究を行う際に感じる曖昧性、そしてその意義についての
疑念が存在する。そこで、この問題について、少し真剣に考えてみた。

1) 客観的指標としての脳活動
脳活動は 感性、創造性、人間性、など、最高の価値を生み出す生物的
情報機関による客観的生理活動であり、その内部状態を知ることそのものが、
こういった崇高な価値を生み出すアルゴリズムを探求するものとしての価値がある。

2)主観の指標としての脳活動 
脳活動は、こういった客観的生理指標だけではなく、感情、感性、きもち、心理といった
いわゆる人間の「主観」を生み出し、それを反映する器官である。
いままで、こういった主観を計測する客観的方法はなかったが、脳計測によって
従来、科学的に手が出なかった主観を、客観的に計測することが可能になった。

この2つの意味が大きい。

具体的には、脳活動を、脳空間を定義して時空間マッピングすることによって、
情報のパターン化ができる。 視覚野はAという刺激に対してこれこれのように
活動している、、、 等々。 これを応用すれば、脳の活動パターンから、
刺激や運動反応、判断などを 逆推定しその信号をさまざまな用途に応用できる。
このような応用をBMI(Brain Machine Interface) もしくはBCI
(Brain Computer Interface)という。

一度脳活動がパタン化されれば、それに基づき、思考様式、判断、情緒、感性
といった高次の認知機能のアルゴリズムがモデル化できる。 
そうした情報をつかって更に脳を模擬したコンピュータ理論をつくり、
その出力と、実際の脳活動からのパタンアルゴリズムを比較することによって、
1400億の入出力をもった某大な計算としての脳活動そのもののアルゴリズム
再度推定・評価できる。 


これが、脳活動を計測することの科学的意義である。