色という価値

色は、純粋に物理的に測定でき、人間の視覚系においても、最初の網膜の段階では、
色処理のために、神経系はセンサーとして働く。すなわち、赤、緑、青、の順に
長波長、中波長、短波長にTuneされた検出器によって、バンドバスの検出を
行う (Triclomatry theory).  この処理は、まず網膜にて行われる。

次に、2つの色が対になってお互い拮抗する効果が生じる。
いわゆる反対色による相互拮抗効果である。これによって、赤の隣の
緑、青の隣の黄色は、より鮮やかに見える。これは、網膜の次のLGN
と呼ばれるところにおける色の処理段階だ。


第3に、色とは独立の次元である明るさ(Luminance)次元の変化に
対して一定の(ロバストな)処理が、皮質の最初の次の段階で
行われる。 いわゆる色の恒常性の成立である。

これによって、例えば、夕方みたリンゴの色と、朝にみたリンゴの色を、
同様に赤いと我々は感じる。 朝と夕方では、背景の輝度が大きく異なり
物理的な色合いは大きく異なるのだが、我々の知覚は、同じ赤である。
これは、大脳皮質の中間段階、V4と呼ばれるところで行われる。


そして、最後に、カテゴリーとしての色が、いわゆる側頭葉と
いわれるところで成立する。 これは、例えば、信号の赤、そして、
青、その色は、実際は赤や青の物理的波長から、かなりずれていても、
我々の頭のなかで、赤と解釈して、赤の色に分類してしまうのである。
この段階では、色の学習、記憶が起こる(いわゆる記憶色)と
いわれている。ここで、いわゆる色の認識が最終的に成立するが、この
段階はまだまだ完全にはわかっていない。


色の脳内(網膜も含めた)神経処理は、上記の4段階を経て行われる。
もちろん、既存のコンピュータや、コンピュータビジョンの世界で、
ここまで徹底的に色について処理しているシステムなど、未だかつて存在しない。

また、いわゆるフィードバックの問題、最後の段階が、それ以前の段階に
どのように影響するか、それについても研究途上である。

なるほど、脳というのは、かくも複雑にして、素晴らしいものだ。