Prior Entry Theory (最初に入った感覚優先理論)

Prior Entry Theory とは、感覚モダリティに情報が入り、処理される
速度が速い順番に、情報が処理される、そして、その速さに対しては、
注意が、促進的に働く、という理論(仮説)である。

しかしながら、そもそも、モダリティそのものに本当に注意を向ける
ことができるのだろうか? という疑問は当然生じる。
例えば、テレビを見ているときに、音だけに注意して、見ている絵を
完全に無視できるものなのだろうか? もし、そうだとした場合、
注意によって、具体的に神経のスピードが、促進されるのか?
その時には、いったいどのようなメカニズムとプロセスが働く
のだろうか?  疑問は尽きない。

  そもそも知覚の処理スピードとは、どういう意味か? 
確かに、脳の処理を考えた場合、情報の速さ、というのは、あくまで知覚、
という感覚を通して測定するしかないが、知覚の時間を、意識に上るまでの
時間と定義した場合、どの程度意識に登ったときを、それと定義するのか?
知覚の処理スピードというのは、その意味で、確率論に基づいた理論化が、
必要である。

脳神経系の処理速度、という点では、実際、EEGやMEGを使って、神経伝達の
速さを大雑把に図ることはできるが、それも到達するまでの距離と時間が
一様に定義されていないため、統一的理論が構築されていない。 
その意味で、まだ行動計測のほうが、神経システムの詳細な振る舞いを
記述するのに未だに適している。これは、脳計測が盛んな今でも、
数十年前と同様である。

ここ数年来、進歩した点といえば、同一モダリティ内において、
TemporalOrderJudgement課題において、
閾値レベルでは注意があるなしによって、はっきりした差が生じない、
という事実が分かってきたことだ。これは、処理のスピードを決める
ボトルネック」が、より高次の過程、例えば 注意のGainControlの
レベル (視覚系においては、V4が有名)で行われていることを
示唆するデータが多く出てきた点である。

このGainControlがどの段階で発生しているか、という
処理段階の差よって、例えば速度の知覚や順序判断にモダリティ間で
差が出てくるようだ。これによって、例えば運動知覚に、視覚と
聴覚でどのように差が出てくるか、のおおよその予測が立つであろう。

是非とも、Spencerと議論してみたいものだ。わらい

Google Schlar Prior Entry theory 
http://scholar.google.co.jp/scholar?q=Prior+entry+theory&hl=ja&as_sdt=0&as_vis=1&oi=scholart