創造性の必要条件

創造性を脳科学するにあたって、そもそも創造性というものを定義しなければならない。
その前に、そもそも創造性というのはどのような条件のもとで現れるかを、虚心坦懐に考えてみた。

http://www.naruto-u.ac.jp/~rcse/m_creativethinking.html

ギルフォードというひとは、創造するためには、


1.問題に対して敏感である:ある考えに含まれる誤りや欠陥などに気づき,指摘することができる。
2.思考が流暢である:次から次へとなめらかにアイデアを出すことができる。
3.思考が柔軟である:すでに確立された方法や既存の考えにとらわれずに
考えることができる。
4 考えが独創的である:型にはまらない,非凡なアイデアを出すことができる。
5.考え方が緻密である:ある考えをていねいに発展させたり,細部を注意深く詰めていくことができる。
6.問題を再定義する力がある:問題を異なる角度からとらえ直すことができる。


という思考の様式をリストしている。


創造性を促進する環境、個人の性向として

1.あいまいさに対して寛容である:    アイデアは最初はあいまいである  
2.冒険を好む:              危ないことを好む
3.自信が強い:              不安でアイデアを消さない 
4.独創性を重視する:           上の4に直結
5.変化を好む:              新しいことは変化である
6.達成心が強い:             途中でやめては完成しない

という環境、個性が必要である、ということはよくいわれる。
現在の日本に、このような環境を与えてくれる場所があるだろうか?
日本は、欧米に比べてあいまいさには、許容がある。そもそも日本語は
自由度が高く、次の話題もすぐ思いつくほどだ(笑)。 日本人は結構
大胆である、これも創造性にプラスに働くであろう。そもそも、自然環境
からして、結構あぶない(笑)、しかし、そのようなものとして、みな生きている。

逆に、創造性を阻害する要因として次のようなものが挙げられる

(1) 機能的固着(とらわれ):  同じことをすることは、創造性と逆方向
(2) 同調傾向:         他人のまねをは創造性を阻害する
(3) 権威主義的雰囲気:     権威主義は思考を停止する
(4) ゆとりのなさ: 考えたり試したりするには、時間的心理的余裕が必要・受験勉強時や予算獲得文書作成時に創造性は出ない
(5) 与えすぎ:   おおすぎるおもちゃや、予算は創造性を阻害する。 ないから作り出す、
のである。 「必要は発明の母」である。

この中から、いくつか 創造性への思考の核心的要素を抽出するとすれば、

A.思考が形にはまらない
B.思考が柔らかい
C.冒険を好む、変わったことを恐れない
D.他人の考えにこだわらない、自分の考えにこだわる
E.主体的に考える
F.何らかの形にするまで続ける

ということだろうか。 A,Bは思考様式、C,Dは思考の方向性、Eは主体性、
Fは継続性(完成への固着性)、という風にいろいろな要素が矛盾して入っている。
ここには、創造性への情緒的・気分的影響をあまり考慮していないが、これらも
いろいろな意味で作用するであろう。 

創造性が脳の本質である、ということはよくいわれるが、創造というものは、
それほど簡単に定義できるものではない、ということが、ここからもよくわかるであろう。

それでも、なぜ我々が創造性を研究するか、それは、脳の本質を知りたい、知性の
本質を知りたい、という本質的欲求に異ならないであろう。